1998/03/09 私立高講師、派遣会社から 事業法対象外 批判受け中止へ 千葉・柏〔朝日新聞 夕刊〕

 千葉県柏市内の私立高校が、人材派遣会社と契約を結んで非常勤講師を雇用していることが分かった。労働者派遣事業法に基づく人材派遣の対象業務に「教員」は入っておらず、「教育はビジネスではない」との批判が教員の中からあったことなどから、学校は新年度から取りやめる方針だ。人材派遣会社は「法的には問題はないはずだ」と反論している。背景には経営や生徒数が不安定な私立校の現状もある。
 同校によると、東京都渋谷区内の人材派遣会社を通して五人の非常勤講師を雇用した。
 生徒数の増加などで講師が足りなくなったことから昨年四月、人材派遣会社と契約を結び、国語講師三人と英語講師二人を一年契約で採用した。給料は学校が会社に支払い、講師は会社から受け取っていた。
 だが、五人のうち英語の講師一人が今年一月、突然辞任したり、「講師の立場が不明確で、教育現場にはなじまない」との批判が教員の中から出たりしたことや、労働者派遣事業法に違反する可能性もあると指摘されたことなどから、同校は二月に「来年度の雇用を中止する」という内容の文書を、派遣会社に送ったという。
 学校によると、県立高校の合格発表との関係から三月中旬にならないと生徒数が確定せず、その時期から講師を確保するのが困難だったという。
 校長は「講師との雇用関係も会社を通してすることで比較的スムーズにいくのではないかと考えた。法に抵触する可能性もあるということは後で知り、不勉強だった」と説明している。
 文部省高等教育局私学部私学行政課は「人材派遣会社から講師を雇用しているというケースは聞いたことがない」という。
 一方、人材派遣会社は「労働者派遣事業法で教員の派遣はできないが、(ある授業時間の教育をするという)業務の委託を受けたという形なので法的には問題ない」と主張。少子化が進み、経営が厳しい私立校が増えている現状から「人件費などの経営効率を考えれば学校にとって有効な手段だと思う。会社で講師の研修もしている」と話している。
 労働者派遣事業法で対象業務として認められているのは二十六業務に限られている。現在、労相の諮問機関が「対象業務の原則自由化」の方向で見直し作業を進めているが、教員の派遣が含まれるかははっきりしていない。労働省民間需給調整事業室は「実態を調べないと分からないが、雇用形態の契約内容によっては法に触れる可能性がある」としている。